「ジョブ型だとすぐ解雇されそう、今の労働基準法で大丈夫なの?」
「ジョブ型で雇用されたら労働基準法で守られるのかな?」
この疑問にお答えします。
最近大手企業が導入したことで話題になっているジョブ型雇用ですが、今までの雇用形態と異なるため、労働基準法との関係が良く分からないと思います。
そこでこのページでは、ジョブ型雇用に関係する法律を集め、実際にどのように適用されていくのかご説明します。
ジョブ型に関係する労働基準法および関連の法律
ここでは法律を読みやすくまとめて表現しています。
細かい条件をカットしていますので、雰囲気でざっくりと理解してもらえると思います。
雇用時に気になる労働基準法
労働基準法 第32条
1日8時間、週40時間を超えて働かせてはいけない。(休憩時間を除く)
労働基準法 第36条
労働組合(労働者の過半数)と書面協定があれば、労働時間、休日に関する規定にかかわらず、その協定で決められた残業や休日労働が可能。
労働基準法 第37条
労働時間を延長したり休日労働した場合は、通常の賃金の25%~50%の割増賃金となる。
労働時間は1日8時間だけど、労働組合との取り決めがあれば残業が許され、通常より高額な残業代がもらえる、ということですね。
残業をどこまでやらされる可能性があるかは、会社(労働組合)ごとに異なるということですね。
ジョブ型の業務範囲が終わらない場合この範囲で残業を行う必要が出てきます。
「それでも終わらない場合は、解雇されるの?」という疑問は次に説明します。
解雇に気になる労働基準法、その他の法律
労働基準法 第19条
業務上の負傷、疾病、または産前産後の休業中及びその後30日間の解雇は禁止。
労働契約法 第16条
客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇は無効となる。
労働契約法 第17条1
有期労働契約における期間途中の解雇は「やむを得ない事由」がない限り認められない。
労働基準法 第20条
解雇は、30日前の予告または30日分の解雇予告手当が必要。
合理的な理由がないときは解雇できませんが、理由があれば解雇可能ということです。その際は30日前に予告が必要ということです。
前述のように残業しても業務が終わらない場合、それが、通常なら終わるのか、
それとも一般的には終わらないかによって、社会通念上の解釈が異なってきそうです。
また、ジョブ型雇用での正社員(限定正社員)については、おそらく、
職務自体が消滅・縮小することはこの正当な理由に該当して、解雇されそうです。
民法 第627条 解雇・退職の自由
当事者が雇用の期間を定めていないときは、各当事者は何時でも解約の申し入れをすることができ、この場合雇用は解約申し入れの後、2週間を経過することによって終了する。
その他、関連する労働基準法やその他法律
労働基準法 第41条 2第1項
高度プロフェッショナル労働制に関して
労働契約法 第10条
終業規則の変更は、これを変更できない特別な合意をしていない場合に限り、かつ、
就業規則の変更が合理的な場合に、労働者に周知させた上で変更ができる。
就業規則などの変更については労働者が守られていますね。
労働基準法 第15条
使用者は、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
契約時の労働条件に勤務地変更(転勤)の有無が明示される必要があります。
職業安定法 第5条の3
募集時から労働条件を明示する義務があります。
労働基準法施行規則 第5条1項1の3号
明示されるべき労働条件は「労働契約の期間、就業の場所、従事すべき業務、他」
労働基準法施行規則 第5条4項
労働者に対し、規定する事項が明らかとなる書面を交付する。
労働条件の明示については、多方面から労働者が守られていますね。
労働基準法 第89条10
常時十人以上の労働者の場合、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。
就業規則は変なものを作れないことになりますね。
ジョブ型と労働基準法 まとめ
従来型、日本型(メンバーシップ型)雇用では「仕事がないから解雇する」と言うのは問題がでてくる解雇理由になります。なぜなら、人に対して仕事を割り振るのがメンバーシップ型だから、会社は仕事を割り振る約束になっているからです。
それに対して、ジョブ型雇用では「業務が無くなったから解雇する」というのはごく普通に行われると思われます。
もちろん、海外では、解雇する前に他の業務を優先的に募集・あっせんすることが行われているようですが、この新しい業務に対応できない場合は、やはり解雇になってしまうのでしょう。
これらのジョブ型が日本企業に浸透していくかどうかは、次の記事にまとめました。よかったら合わせてご確認くださいね。