日本IBMリストラが止まらない?2021年怒涛の退職勧奨か

リストラ

日本IBMって分社化してどうなっちゃうの?
日本IBMのリストラって半端ないの?希望退職の圧力すごいの?

これらの疑問にお答えします。
 

日本IBM株式会社(日本アイ・ビー・エム)とは、米IBM社(IBM Corporation)の日本法人で、コンピュータ関連の大企業です。

売上9000億円、営業利益500億円を超えており、コロナ禍に影響を受けにくいIT企業です。リストラとは無縁な会社に見えます。
 

しかし、実は社内で2021年の分社化を目の前にリストラの嵐が吹きまくり、退職勧奨が頻繁に行われているのです。
 

日本IBMはなぜリストラを行うのか、2021年の分社化や人員削減はどうなるのでしょうか?
これらについてまとめたいと思います。
 

このページで分かること

 
・日本IBMが分社化する理由と2021年にどう変わるのか
・日本IBMのリストラ人員削減の状況と今後について

 


日本IBMはなぜ分社化するのか?2021年にどう変わる?

日本IBMは、2020年10月に分社化と新会社設立について発表しました。
 

 
現在のIBMにあるグローバル・テクノロジー・サービス事業(GTS)のマネージド・インフラストラクチャ・サービス部門(MIS)を2021年末までに分社化します。

完全子会社ではなく、公開会社(非連結)となります。つまり、この事業をIBMから切り離します。
 

この分社化は、日本法人だけでなくグローバル全体で行われる大規模な分社化です。

新会社の事業規模は190億ドル(約1兆9700億円)、IBM全体の1/3です。
従業員も9万人、IBM全体の約1/4が新会社へ移ります。

※IBM全体規模:590億ドル=6兆1300億円、全従業員数は約35万人
 

新会社が190億ドル規模という超大型な分社化!会社の1/3を切り離すなんて大胆すぎますね。

 

IBMでは、なぜこのような大規模な分社化を行うのでしょうか?

グローバル・テクノロジー・サービス事業は、何か悪い状況に陥っているのでしょうか?
疑問が膨らみます。
 

グローバル・テクノロジー・サービス事業とは

グローバル・テクノロジー・サービス事業とは、ITインフラの構築・運用・サポートを行う事業です。
現在のIBM売上の大きな柱で、全世界のあらゆる業界のITのニーズに対応し、各企業のITインフラを支えています。
 

これがIBMから離れるということです。ITインフラの構築・運用に特化したサービスを、IBM製品に偏らずに中立的な立場から提供する新会社を設立します。
 

現在のIT業界では、構築するインフラの中心が、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft AzureなどのIBMの競合製品であることが多く、IBM社として今まで適用できなかった他社クラウド基盤を組み合わせた構築が新会社では行えることになります。
  

日本IBMが分社化を行う本当の理由とは

米IBM社 ホワイトハースト社長は、分社化の理由について
 
「顧客企業では、インフラを選ばないアプリケーション中心のニーズや、オンプレミス環境(各企業専用のハードウェア)のモダナイゼーションへのニーズ(クラウド化ニーズ)が高まってきたからだ」
 
と説明しています。

しかし、それは表向きの説明に過ぎません。なぜなら、新会社が連結決算とならない会社となるからです。
 

一方で、ITインフラを切り離して残るIBM本体としては、オープンなハイブリッドクラウド・プラットフォームとAIソリューションにフォーカスし、高価値のクラウド・ソフトウェアおよびクラウド・ソリューション企業へシフトしていきます。
 

つまり、現時点で売上割合が大きいITインフラは、将来的に収益悪化が見込まれるため、これをIBM本体から切り離したい、そして、IBMとしては新たなオープンおよびAI企業へと変身したい、というのが本音でしょう。
 

引用:「時短父さんの投資生活」
http://jitanpapa.work/archives/24958039.html

 
とても分かりやすいグラフが、「時短父さんの投資生活」様のサイトで掲載されていたのでご紹介します。

IBMの売上推移ですが、分社化対象のテクノロジーサービス事業(真ん中)は、前述のように2016年~2020年で減少を続けています。その一方で、IBMに残るクラウド&コグニティブは順調に拡大傾向にあります。
 

テクノロジーサービス事業には、IBMが過去に広くサービス展開してきた顧客をたくさん抱えていますので、サービスをいきなり辞めるわけにはいきません。しかし、売上はどんどん減少します。切り離したくて仕方がない状態だったのでしょう。
 

ちなみに、2020年10月の分社化発表を受けて、IBMの株価は一時的に急上昇しました(下図の赤枠)が、すぐに下落へ転じています。市場も将来性が少ないことを理解したということです。
 

Yahooファイナンスより

日本IBMのリストラ人員削減の状況と今後について

分社化を目の前にしたIBMでは、ヨーロッパで1万人規模のリストラを進めており、完了が2021年となることを発表しています。
 

日本IBMのリストラによる人員削減の状況はどうなっているのでしょうか?
 

日本IBMのジョブ型リストラ

日本IBMのリストラといえば、ジョブ型リストラが行われています。
 
一般的なリストラでの人員削減でなく、成果主義で定義されるジョブ型契約をうまく利用(悪用)しています。

個人ごとに定義されるジョブデスクリプションに対して、そのジョブがIBMから無くなることによる退職勧奨を行っているのです。「(定義された)あなたの仕事は無くなる」「(ジョブに対し)あなたの働きぶりは悪い」といって退職へ誘導していきます。
 

IBMにも労働組合が存在しますが、労働組合からの報告によれば、2020年11月から、ブランド営業部門、マーケティング部門、GBS部門、TSS部門に対するリストラでの退職勧奨が行われています。
 

退職規模については把握が難しいのですが、組合への相談状況や有名掲示板情報によれば、2020年末までに数百人~1000人規模の人員削減が行われたようです。

※日本IBMは米IBMの完全子会社ということもあり、従業員数をWeb公開しておりません。
 

なお、日本IBM社として、これらの退職勧奨の理由について、「パフォーマンスマネジメントの一環」と説明しています。しかし、明らかにリストラでの退職勧奨であり、グレーゾーンと言わざるを得ません。
  

  

日本IBM(日本アイ・ビー・エム)でのニュースリリース

日本IBMのウェブサイトに掲載されているニュースリリースを以下に抜粋します。

  • 2020年5月19日

100%出資子会社3社を合併し7月1日から、「日本アイ・ビー・エム デジタルサービス株式会社(以下、IJDS)」を発足する

より高品質で効率的なシステム運用の提供や新しい技術を活用したお客様のデジタル変革を加速するため
合併するのは、日本アイ・ビー・エム・サービス株式会社(以下、ISC-J)、日本アイビーエム・ソリューション・サービス株式会社(以下、ISOL)と日本アイ・ビー・エム・ビズインテック株式会社(以下、IBIT)
 

  • 2020年1月31日 米国ニューヨーク州アーモンク

2020年4月6日付けでアービンド・クリシュナをIBM最高経営責任者(CEO)兼取締役に選任
クリシュナは現在IBMシニア・バイスプレジデント クラウドおよびコグニティブ・ソフトウェア担当で、Red Hat買収では中心的な役割を務めました。
IBMシニア・バイスプレジデント兼Red Hat CEOであるジェームス・ホワイトハーストも、2020年4月6日付けでIBM社長に就任します。
 

(分社化に関するニュース掲載は2021年当初には見当たりませんでした)
 

日本IBMの平均年収と退職金について

日本IBMでの退職勧奨が多いということで、退職に当たってはやはり退職金が気になります。
 

退職金を考える前に、日本IBMでの平均年収がどの位なのかをまとめておきます。
 

  

日本IBM平均年収 約773万円

 (転職サイト 696件投稿データより)
 

日本IBMの社員には職種の等級(バンド)が存在します。この等級ごとに給与範囲が上下していきます。
 

等級(BAND)  職種内容
トレーニー: 入社1年目
バンド6 : 一般職
バンド7 : 係長または主任
バンド8 : 課長(管理職)
バンド9 : 部長(管理職)
バンド10 : 事業部長(管理職)

また、転職サイトに集まった情報から日本IBMでの職種別の年収は次の通りです。
 

職種  平均年収
マーケティング・企画: 865万
システム開発(オープン・WEB系): 778万
ネットワーク・サーバ・通信インフラ系: 716万
その他のシステム・ソフトウェア関連職: 811万
ビジネスコンサルタント・シンクタンク: 771万

日本IBMの退職金ですが、上乗せとなる退職金についての情報はありません。

ジョブ型雇用による各ジョブに対する対価が給与・年収になっているため、終身雇用と明らかに異なりますし、退職に対する一時金、退職金の上乗せという考え方が無いものと思われます。
  

日本IBMの退職マニュアルとは

日本IBMでは、2004年から従業員個人の目標管理型業務評価制度「PBC」を導入しています。業績の貢献度に応じて評価を5段階に設定します。現在のジョブ型の前身となるものです。
 

2008年には、この制度で評価が悪かった1,500人を対象にリストラを行うことで、従業員のリフレッシュを行っていました。

このリストラでの面談用に会社が準備したマニュアルがあり、このマニュアルに従って上司がリストラ対象者に退職勧奨を行っていました。
 

各部門の面談者となる上司へ渡されたマニュアルには、退職勧奨で次の2つのポイントが挙げられています。
 

面談のポイント

 
・会社の厳しい現状に対し、対象者の能力では現在の職務が継続はできないことを示すこと。
・転職するなら親身に相談に乗れることを示すこと。

 

つまり、丁寧に十分な説明を行って、対象者の話を十分に聞き、励ましながら転職へ導くということです。

その結果として、実際の面談を受けた対象者は、次のように感じていたようです。

「今までの自分が貢献してきたことに、会社は感謝してくれている」
「自分にとってやりがいのある仕事はなさそうだ」
「今やめるのが得のようだ、これ以上の上乗せ退職金はなさそうだ」

 

更に、対象者をタイプ別に分類し、それぞれの方針を示していました
 

タイプ別の対策・方針

 
・プライドが高い対象者: 客観的事実を示して、周囲の目線からプライドを目覚めさせる。
・感情の起伏が激しい対象者: 相手を落ち着かせるように話を十分に聞いて味方の姿勢を示す。
・現職にしがみつく対象者: 気持ちは分かるが、客観的に難しいことを説明する。
・沈黙する対象者: 質問を促し、期限を決めて考えさせる。

 

   

また、日本IBMとしては、裁判になっても躊躇せず争う社風があることも、退職勧奨をスムーズに進める要因になっていたようです。
   

ジョブ型雇用は業務内容や評価指針が分かりやすくなる一方で、退職に対するデメリットも多そうですね。

 

日本IBMリストラが止まらない?2021年怒涛の退職勧奨まとめ

今回はIT有名企業、日本IBMのリストラ、分社化と人員削減についてまとめました

以前の日本IBMは、IT業界で日本を牽引する企業でしたが、GAFAの台頭によってここ数年は影が薄い存在になっていました。

この分社化とリストラによって、今後どのような会社へ変貌していくのか、今後も注目していきたいと思います。
 

日本IBM以外のリストラ企業一覧を次に記事でまとめています。

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