富士ゼロックスは2021年リストラで消滅し無くなってしまうの?

リストラ

富士ゼロックスってやばいの?1万人リストラしてまだ人員削減が続くの?
2021年4月から社名変更でゼロックスが消えてるけど消滅?

この疑問にお答えします。
 

富士フィルムHDグループの主要子会社、富士ゼロックスですが、2018年にリストラで1万人もの大規模な人員削減を行っています。

そして、2020年10月1日付ニュース発表によると、次年度2021年4月からいくつかの会社が統合されて、富士フイルムビジネスイノベーション社となります。ゼロックスという名前がなくなっています。

これは、富士ゼロックスの消滅を意味するのでしょうか?
 

そこでこのページでは、富士ゼロックスの過去のリストラ経緯と現在の経営状況、そして、今後の方向性についてまとめました。
 

このページで分かること

 
・富士ゼロックスの2020年以前のリストラ経緯と現在の経営状況
・2021年4月以降の富士ゼロックスの方向性

 

  

富士ゼロックスの2020年以前のリストラ経緯と現在の経営状況

富士ゼロックス社の2020年までの変遷

富士ゼロックス社とは、オフィス向け複合機、複写機事業をメインとした電機機器メーカーです。
 
 
ペーパーレス化が進む中で複合機市場は縮小しており、2020年の新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が広がり、複合機の販売や保守サービスが低迷しています。
 

富士ゼロックス社の変遷・主な事象 

1962年富士ゼロックス創業
 ※持ち株比率:富士フィルム50%、米国ゼロックス社50%
2001年富士フイルムの子会社へ
 ※富士フィルム75%、米国ゼロックス25%
2017年富士ゼロックスのニュージーランド子会社で不適切取引
富士フィルムHD決算281億円影響
富士フィルムの富士ゼロックスに対するガバナンス強化へ
2018年富士ゼロックス社は全世界で1万人リストラを発表
(富士フィルムHDによる米ゼロックス社買収を発表)
2019年(富士フィルムHDの米ゼロックス社買収が失敗)
富士フィルムの完全子会社へ
 ※富士フィルム100%

 

2018年の大規模リストラ背景


以前より複写機事業は低迷を続けており、これを打開するため、米ゼロックス社と富士ゼロックスの経営統合による効率化が妥当と思われていました。そこで、2018年に富士フィルムが米ゼロックス社の買収を発表しましたが、最終的にこの買収が破談しています。 

理由は、米ゼロックス株主による買収に対する激しい反発や米国での訴訟等のためです。2019年に買収が破談となり、その後、富士ゼロックスは富士フィルムの100%完全子会社となった背景があります。
 

1万人リストラの起因となったのは、2017年のニュージーランド子会社での不正取引です。親会社の富士フィルムHDの決算として281億円もの不正会計となり、富士フィルムHD社に対して管理責任が厳しく問われました。

富士ゼロックスは元々、社風が比較的ゆるやかで、社内の人間関係も良い印象がありました。

しかし、この2017年の不正会計以来、親会社である富士フィルムHDのガバナンスが強化され、富士フィルムの厳しいマネジメントによって大規模なリストラが敢行されています。
 

また、富士ゼロックスとして、数年前から複合機だけに頼らない新事業を模索していますが、富士ゼロックスだけでは方向性がなかなか定まりませんでした。ITサービス、在宅向けソリューション等も展開していますが、現時点で主力となる事業の柱となっておりません。
 

富士ゼロックス社の現在の経営状況(2020年)

富士フイルムHDの売上のうち、富士ゼロックス事業範囲の連結業績は、次のように2017年に1兆円以上あった売上が減少を続けています。2019年に9,583億円となっており、2017年から約9%ほど減少しています。
 

引用:富士ゼロックス 財務データ(連結)

 
また、富士ゼロックスは富士フィルムHDの子会社ですが、富士ゼロックス自体にも関係会社が多数存在します。富士ゼロックスの関連会社と業務範囲、従業員数は次のようになっています
 

富士ゼロックス本体

富士ゼロックス
オフィスプロダクト&プリンター事業、プロダクションサービス事業、ソリューション&サービス事業
(2020年3月期 連結) 39,825名
(2020年3月期 単独) 7,504名

富士フィルムHD連結の従業員数が73,906名のため、富士ゼロックスの割合は53%と過半数を占めています。
 

富士ゼロックス 主要関連会社

富士ゼロックスシステムサービス株式会社
全国の自治体および企業向けBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスの提供
100%子会社
1,637名(2020年4月末日現在)

富士ゼロックス プリンティングシステムズ株式会社
オフィス向けレーザープリンターの卸販売
富士ゼロックス株式会社(81%)、日本電気株式会社(19%)
112人(2020年7月1日現在)

富士ゼロックスインターフィールド株式会社
事務用機械器具、事務用家具、文房具および複写機、ファクシミリ、プリンター等に使用される消耗品の販売
100%子会社
82名(2020年4月1日現在)

富士ゼロックスマニュファクチュアリング株式会社
事務用機器、印刷機器および関連製品ならびにそれらの部品・消耗品の試作、製造
100%子会社
2,400人(うち正規社員 約1,150人)

富士ゼロックスサービスクリエイティブ株式会社
販売に関する契約業務および売上管理業務の代行、会計・経理に関する業務の代行、コールセンター業務など
100%子会社
2,000人

富士ゼロックスサービスリンク株式会社
印刷・複写・複合機管理等のドキュメント関連サービスの提供
富士ゼロックス株式会社(80%)、三菱重工業株式会社(20%)
701名(2020年4月1日現在)
 

その他、国内の各地域ごとの販売会社(富士ゼロックス北海道株式会社など)、県別特約店、そして、海外にもアジア、オセアニア、北アメリカに関連会社25社が存在します。

連携として従業員は、2018年に1万人削減していますが、2020年3月時点で合計39,825名です。
 

富士フィルムHDはこんなに大きな会社である富士ゼロックスを100%子会社にしていたんですね!


 

2021年以降の富士ゼロックスの方向性

富士ゼロックス社名変更

富士ゼロックス株式会社ロゴ https://www.fujixerox.co.jp/

2021年4月1日から現在の富士ゼロックス株式会社が社名変更し、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社となります。

富士ゼロックス社単体の社名変更ではなく、関連会社のいくつかが統合されて新会社となります。対象の関連会社は次の通りです。
 

 
富士ゼロックスの国内営業部門
国内の全販売会社31社
富士ゼロックスインターフィールド

 

 

つまり、ゼロックスの営業部門を中心に、各地域ごとの関連会社(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州)が統合し、新会社「富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社」となります。
  

そして、この社名変更に伴って、現在の富士ゼロックス関連会社の社名もそれぞれ変更となり、「ゼロックス」がなくなります
 

富士ゼロックス システムサービス株式会社
 ↓ 
富士フイルム システムサービス株式会社
 
富士ゼロックス プリンティングシステムズ株式会社
 ↓
富士フイルム プリンティングシステムズ株式会社
 
富士ゼロックス サービスクリエイティブ株式会社
 ↓
富士フイルム サービスクリエイティブ株式会社
 
富士ゼロックス サービスリンク株式会社
 ↓
富士フイルム サービスリンク株式会社
 
富士ゼロックス マニュファクチュアリング株式会社
 ↓
富士フイルム マニュファクチャリング株式会社
 

その他、海外の関連会社についても、全て、次にように変更します。
 

Fuji Xerox ・・・
 ↓
FUJIFILM Business ・・・

 
 

この社名変更は米ゼロックス社との技術契約の終了に伴うものです。
 
 
富士ゼロックスは、米ゼロックスとの技術契約を2021年3月31日をもって終了します。

技術契約は終了しますが、現在は富士ゼロックスの独自技術や自社商品が多数存在するため、これらについて、2021年4月以降も商品・サービス提供を継続します。
 
 

ゼロックスという名前がなくなるので、富士ゼロックス社が消滅するのと勘違いしますが、現在の富士ゼロックス業務はそのまま継続できそうですね!

 
さらに、米ゼロックスとの販売テリトリーがなくなるため、現在アジア、パシフィックに限定されていた商圏が拡大し、全世界に対してビジネスを展開できることになります。
 

富士フィルムHDの米ゼロックス社買収失敗がこの結果につながったようですね。今後はアジア・パシフィック以外の全世界市場へ参入できるため、競争が厳しくなる反面、売上増加の可能性は広がったとも言えます。

 

複合機市場動向

2020年新型コロナの影響で、テレワーク・リモートワークが推奨され、また、対面での打ち合わせの代わりにオンライン会議へシフトしている現状があります。

そのため、オフィスでの印刷量が激減し、消耗品やサービス需要が落ち込む結果となっています。
 

これに対し、在宅ワークや、子供の学習要の印刷ニーズが増え、家庭用インクジェットプリンターの販売が好調となっています。

しかし、キャノンやエプソン等と異なり、富士ゼロックスでは家庭用印刷機器に力を入れておりません。オフィス向け複合機市場の落ち込みをカバーできていない状況です。
 

また、2021年4月以降の米ゼロックス社との技術契約終了により、富士ゼロックスは米ゼロックスと競合・ライバル関係に変わります。
 
米ゼロックスは米HP社の買収を試みており、今後も目が離せない状態です。市場が縮小している中で激しい動きがありますし、2021年以降、複合機や印刷機器の業界での競争が激化してものと思われます。
 

2021年1月時点で、リストラによる明らかな人員削減は発表されておりませんが、今後も事業のリストラは継続し、大規模な構造改革や人員の配置転換は行われることになるでしょう。
 

富士ゼロックスは2021年リストラ状況 まとめ

今回は、富士ゼロックスにおける2020年以前のリストラ経緯と現在の経営状況、そして、2021年4月以降の方向性についてまとめました。
 

コロナ禍の富士ゼロックスでは、リモートワークソリューションを販売している割に、自社としてのリモートワークがそれほど推進されていないようです。今後も様々な社内改革が続く可能性が高いと思われます。

今のところリストラでの明らかな希望退職や人員削減等は告知されていませんが、複合機業界全体では厳しい状況に変わりはありません。今後も引き続きリストラ状況をチェックしていきたいと思います。
 

コロナ禍の富士ゼロックス以外のリストラ企業一覧については、こちらの記事にまとめています。

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