父が娘に語る経済の話の超簡単な要約は無いの?
娘に語るのって初心者向けの経済の話なの?それとも何か裏事情の話?
この疑問にお答えします。
ヤニス・バルファキス(Yanis Varoufakis)著の「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」、略して「父が娘に語る経済の話」ですが、
ギリシャの元財務大臣の父が本音で語りつくす本で、「経済の本なのに異様に面白い!」と絶賛された、19万部突破した世界的ベストセラーの一冊です。
第一章「なぜ、こんなに格差があるのか」という章題のように、経済の本質を探りつつ、最終的に娘に今後考えてもらいたい様々な思考について、映画「マトリックス」他のたくさんの事例を出しながら話を進めています。とても面白く読み応えがあります。
今回はこの本の内容を凝縮し、1分で読めるように要約としてまとめ、そして、この本のレビューと気づき・感想を読書中のツイートと一緒にまとめたいと思います。
1分で分かるヤニス・バルファキス著「父が娘に語る経済の話」の要約
ここでは、ヤニス・バルファキス著「父が娘に語る経済の話」を1分でざっと概要が分かるようにまとめました。
個人の判断でかなりの範囲をカットしています。それでは、お楽しみください。
通貨は農作物の余剰から生まれた
土地や気候に恵まれない地方で余剰を蓄え
通貨、債務、国家が生まれ、他の民族の支配へつながった
つまり、その民族が賢かったわけでなく、
逆境があったから強くなった
土地、手段、労働力が、商品となる
農奴は放たれ、自由意志で働けるが、
借金して農業し、最終目的が利益追求へ
すさまじい貧富の差へ
銀行の信用創造と経済破綻
銀行は、起業家の可能性にかけてリスクを取り、
どこからともなくお金を出す(信用創造)
これを繰り返し、社会全体が借金漬けへ
経済破綻へ
でも銀行は中央銀行からお金を出してもらい
つぶれない
最終的に、政府が債務免除で不公平に経済を回復させる
究極の機械化
テクノロジー進化は止められない
映画マトリックスは、機械が人間を乗っ取り、
VRを見せられた奴隷人間から動力エネルギーを得る世界
今の巨大企業が究極に目指すのは、
全機械化、つまり、新たな機械を設計できる機械を持つこと
全人類は働く場所がなくなり、
巨大企業の管理者だけが利益を得る
これでいいのか?
機械を人類の共有財産にして、全ての人が恩恵を得れば良いのでは?
通貨の民主化
市場社会は自然破壊へ
破壊は更に交換価値を生み出す
地球を救うには誰かが地球を買う?
それは封建制度に戻ることか?
解決策は、
地球を含めて全てを民主化する、または、全てを商品化すること
結局、世の中の格差がある理由とは?
(要約は以上です)
「父が娘に語る経済の話」のレビュー(気づき・感想)
ここでは、ヤニス・バルファキス著「父が娘に語る経済の話」のレビュー(気づき、感想)として、読書中につぶやいたTwitterのツイートと、それに対する補足をまとめました。
通貨は農作物の余剰から生まれた
農作物の余剰を記録するために文字が生まれ、
倉庫に余剰を保管するための債務の考え方、通貨の交換の考え方、
そして、それを守る国家が生まれたんですね。
強い国家が生まれ、そして他の国を支配(奴隷化)していく、
つまり、格差の元は、その人間がもともと賢かったわけではなく、
余剰が生まれる自然環境、土地や気候に恵まれなかった環境にいた人間が、逆境で強くなったから。
貧富の差の原点は、自然環境というたまたまな偶然から始まっていたんです。
交換価値が経験価値を打ち負かす
交換価値が主流になり、生産手段、土地、労働力が商品に。
このため、土地を持っていた者は土地を貸し、
労働力しかない農奴は、土地と生産手段を借りて、生きるために農業をすることになります。
一見、自由で素晴らしい世界に映りますが、
今までは助け合いの経験価値の交換で生きることは問題なかったのが、交換価値の世界ではビジネスで成功しないと生きていけないんです。
ここから、すさまじい富とすさまじい貧困が生まれたということです。
借金と利益のはじめ
悪魔との交換の話、よく聞きますね。
ここでは、マーロウの戯曲「24年間の絶対的能力と無限の悦楽を与える代わりに魂を渡す」という約束を交わします。
これが借金と利益が結びついた瞬間だったとのこと。
つまり、
16世期英国で農奴が借金して土地を借り、手段を買い、農業を始め、利益を追求しなければならなくなった。
みんなが農業を始めたら競争しなくてはならず、手段(新技術)を買い、安く農民を雇い、なんとか利益を出していく。
ここから利益が目的になったようです。
賢い農奴は貿易で海外に売れるものを作ったようです。
最初の時点ではまだ貧富の差はそこまでなかったんでしょうね。
銀行の魔法の力と国との関係
銀行は起業家の可能性にかけてリスクを取り、その代わり利子と手数料をもらいます。
この融資は実は、預金から出されていたわけではないとのこと。
単に数字を書くだけ、「どこからともなくお金を湧き出させる」んです。
これは信用創造のことですね。
これを繰り返すと社会全体が借金漬けになります。
借金だらけでビジネスを始め、それに経済が追いつかず、利益を出しても返済しきれない状態が来ます。
つまり経済破綻が来るんです。
でも銀行はつぶれない、、、、
そんな仕組みが出来上がったんですね。
銀行がつぶれないから、数年たつとまた、
どこからともなくお金を出すことの繰り返し、、、
既にこの時点で、この銀行に近い立場の人と庶民との間の格差が広がりそうですね。
銀行がつぶれないわけ
危機に陥った銀行は中央銀行から(どこからともなく)お金を出してもらうんですね。
そして、最終的に、
破綻しつつある経済を債務免除という魔法のカードを切って、政府が回復させるしかなくなります。
当然ですが、このカードは不公平に使われるわけです。独裁政権ならなおさらです。
そして国家の債務、公的債務も銀行が黒魔術で出してくれる。
この公的債務がなければ市場社会が回らなので、、、
銀行と政府はある意味、やりたい放題できてしまう世界になっています。。。怖いです。。。
労働市場や経済の流れ
狩人のジレンマという話
鹿は大量の肉だから何日も食べられる、ウサギは少量の肉で足りない。
全員で心を一つにして互いに信用して鹿を狙うか、
抜けがけして鹿の隣のウサギを狙うか?当然、ウサギを狙うと鹿が逃げてしまいます。
労働市場もこれと同じなんです。
経済先行きに対する楽観か悲観か、みんなが楽観すれば上向くし、みんなが悲観すれば下落します。
労組での賃金カットや金利減少等で作為的に操作するのが極めて難しいのが、この労働市場の動向です。
巨大企業の究極の機械化
映画マトリックス!
経済の本でマトリックスが出てくるとは、予想をしていませんでした。
マトリックスは、機械が人間を乗っ取り、VRを見せられた奴隷人間を養分にして機械の動力源を得る世界の話です。
これが良いか悪いかは別として、
テクノロジーの進歩は止められません。
確実に同じような世界になることが予想できます。
今の巨大企業はライバル企業に勝つために、究極の機械化を進めるでしょう。
つまり、
・人間が一切いらない世界、
・人間が考えていた機械の設計を、代わりにできてしまう機械
これらの、自ら変革を起こす機械を先んじて持つことで、ライバル企業に完全勝利します。
そうすると、当然ですが、人の労働力は不要になります。
世界中の大企業で人が不要になり、完全自動化したら、、、
・エネルギーは機械が自動で(労働力ゼロで)獲得し、
・この無料のエネルギーを使って各種商品を自動で作り、
・それを誰か人間が使う
つまり、実質的に原価はゼロなわけです。
(地球という自然財産が減っているけど)
この利益は、すべて大企業の幹部だけに溜まっていきますが、
逆に言うと、それ以外の庶民は労働できず生きていけません。
そんな世界で良いのか?という問題提起がされています。
つまり、この期間を人類みんなの財産にして、みんなで恩恵を得たらどう?という提案がされています。
もちろん、大企業の幹部は嫌がるでしょうけど、
それ以外の人間がいなくなっては意味がありませんので、
そうすべきな気もします。。。(そんな世界がくるんですね。。。)
通貨の考え方
世界大戦収容所の捕虜のやり取りはタバコが通貨の代わりだったようです。
各人に配給されるコーヒー、紅茶、その他の嗜好品を、通貨の代わりにタバコを使って交換していたとのこと。
しかし、最終的にアメリカ軍が来て収容所がなくなる時に、収容所経済は崩壊!
だってそうですよね、収容所がなくなるなら、今まで銀行役の人が貸していたタバコがチャラとなってしまい、返済されない事態となっても仕方ないです。
つまり、通貨には「その体制が崩れないという信頼が絶対的に必須」ということですね。
この信頼を作り出すのが国家なんです。
但し、塀の外でお金は政治的になり、
通貨は債務と税金に結びついており政治の影響下に入ってしまいます。。。
前述のように、銀行と政府介入のグロい世界ですね。
仮想通貨はどうなの?
仮想通貨の欠点は、組織犯罪に対する国家の保護がないことです。
一般の国家発行通貨なら、国家が保障してくれます。
そして、マネーサプライも調整が不能です。
マネーサプライ調整は、債務や経済成長の行き過ぎを防止、デフレや景気後退を退治できる、経済には必須な対応なんです。
ヤニス・バルファキス氏はビットコイン等にも詳しく言及していますが、やはり、国家にひもづく通貨が必要という立場です。
しかし、この政府介入自体は金持ちと貧乏人とで公平にはならないので、通貨の民主化が対応策となる、とも言っています。
通貨の民主化、どんな世界なのか、簡単には想像できません。。。
市場社会を進めると自然崩壊が止まらない
市場社会は、人類を自然破壊へ向かわせます。
もともと破壊は交換価値を生み出すものです。
例えば、山火事があれば、火を消すための消防が動き、交換価値を消費しますね。復旧作業でも交換価値の発動です。
そして、市場社会では、元々誰のものでもなかった「石油資源」は取り放題ですね。
誰かが取る仕組みを作れば、取ったもの勝ちになりがちです。
でも、取りすぎたら自然が破壊されていきます。
本来ならある一定期間で自然回復する環境でも、一気に採取したら崩壊します。
地球を救うには誰かが地球を買えば?という考えがあります。
既に、CO2排出権など、そのような考え方が始まってきています。
もし、地球を誰かが買ったとしたら、
それ以外の一般人、庶民はどうなるんでしょう?
封建制度に戻るべきなんでしょうか?
いや、地球を含めて全てを民主化するか、または全てを商品化すれば解決する
ということなんです。
つまり、庶民みんなのことを考えた民主化でものごとを決めるか、
または、全て商品化することで、市場経済に決めてもらうか、となりますが、一見するとよさそうですが、実は金持ちが強い世界になるわけですね。
「父が娘に語る経済の話」を読んだ、個人的な純粋な感想として
経済を勉強しようと思って買った経済本が、実は、真逆な政治や哲学に近い本でした。
結局、世の中の格差がある理由とは
なんだったんでしょうね?
私自身も大好きなマトリックスですが、マトリックスがでてくるとはビックリでした。
マトリックス以外も色々な事例が出てきていて、
色々な思考を巡らされたけど、つまり、
思考のコントロールをするか、されるかが格差になるってことかなぁ?
昔は、一人が上に立ち、庶民がそれに従うことを普通だと思わせるために宗教ができたり、現代では、これを経済学が担っているとか?
格差を不平等と思わせないため、学問の姿をした思考のコントロール、、、
私自身、経済はまだ勉強中の身なので、これについては、もう少し勉強してからコメントしたいと思います。
#父が娘に語る経済の話 #なかなの感想
ヤニス・バルファキス著「父が娘に語る経済の話」の要約、レビュー(気づき・感想) まとめ
「父が娘に語る経済の話」ヤニス・バルファキス著について、1分要約とレビュー(気づき、感想)についてまとめました。
経済本というよりも、歴史や政治や哲学を含めた経済全体を楽しめました。
後半は興味が止まらず、一気に読み進めてしまいました。
内容がとても斬新で、経済の一面だけを見るよりも、広く深い視点の考えを学ぶことができ、世界的ベストセラーもうなずける貴重な一冊だと思います。確かに、大切な娘にはぜひ話しておきたい内容かもしれませんね。
「父が娘に語る経済の話」を自分自身でも読んでみたい!という前向きな方、次に画像をタップすればAmazon詳細ページを表示します。お互い学んでいきましょう!