KDDIが正社員にジョブ型を始めるって聞いたけど?
日立や富士通のジョブ型雇用はみんな同じなの?
この疑問にお答えします。
先日KDDIが正社員約1万3千人に「ジョブ型雇用」を導入することを発表しました。
ジョブ型雇用とは、業務内容で人材募集され、その成果に対し賃金を支払う雇用の制度です。
つまり、その業務(ジョブ)ができなければ雇用されません。
多くのサラリーマンが雇用されなくなったり、もともとキャリアが無い学生が採用されにくいなど、なんかとても不安な制度ですよね。
そこで、このページではこのジョブ型雇用となる代表的な企業の
KDDI、日立、富士通、他が、
どのようなジョブ型雇用を導入するのかをご説明いたします。
また、ジョブ型雇用に対して私たちは何を準備すれば良いかについてまとめました。
・KDDI、日立、富士通、他でのジョブ型雇用の方針や概況
・私たちは今から何を準備しておけば良いか
アフターコロナで近い将来に、あなた会社もジョブ型雇用へ切り替わるかもしれません。
事前に準備をする意味でも、代表的企業の状況をしっかりと確認しておきましょう。
ジョブ型雇用を表明している主要5社の方針について
ここでは、KDDI、日立、富士通を初めとするジョブ型雇用を始めると表明した7社について情報をまとめてみました。
KDDI
KDDIは2020年8月から、新人事制度として「ジョブ型」人財マネジメント、つまりジョブ型雇用の制度を導入し、成果や挑戦および能力を評価・称賛し、処遇へ反映することを発表しました。
対象は、KDDI生社員は約1万3000人で、段階的にジョブ型雇用へ移行していくようです。
ジョブ型マネジメントとしては、従来のような働いた時間ではなく、成果、挑戦、能力を評価し、プロを創り育てる制度として運用していきます。次の5つの考え方を基本としています。
・市場価値重視、成果に基づく報酬
・職務領域を明確化し、成果、挑戦、能力を評価
・Willと努力を尊重したキャリア形成
・KDDIの広範囲な事業領域をフル活用した多様な成長機会の提供
・「企業の持続的成長」と「ともに働く人の成長」
KDDIのジョブ型雇用については次のページで詳しくまとめています。
日立製作所
日立製作所では、2008年に国内製造業で過去最大の7873億円の赤字となりましたが、その苦境を乗り越え、現在では社会イノベーション事業を軸にインフラサービスを行う会社になっています。
社員も日立グループ全体で約30万人、そのうち、日本に16万人、海外に14万人が働いています。
海外で社員の約半数が働いていて、今後も積極的なグローバル展開を行うためにも、世界標準になっているジョブ型雇用へシフトしていく考えがあることを2020年5月に発表しました。
これは、職務内容(ジョブディスクリプション・職務記述書)を明確に定めて、達成度合いを評価する「ジョブ型」の人事管理制度です。
昨今のコロナ対応でのテレワークで役割分担が明確になったことがきっかけとなったようです。
日立労組もジョブ型へ前向きで、2014年から課長以上に導入していたジョブ型雇用を、2021年3月までにすべての職種に対して本格的に導入していくことになりそうです。
日立のジョブ型雇用については次のページで詳しくまとめています。
富士通
2020年4月から課長職以上の約1万5000人にジョブ型雇用を導入することを発表しました。その後一般社員にも広げるために、現在は労使交渉中です。
富士通のジョブ型雇用では次のようなポイントで実施されています。
・果たすべき職責の明確化と評価
・上司、部下の1on1 Meetingによる課題共有、コーチング、フィードバック
・キャリアの選択肢としてのポスティング制度
・成長を支える学びのプラットフォーム
富士通のジョブ型雇用については次のページで詳しくまとめています。
その他の代表的な企業について
資生堂
2021年1月から国内社員の一部 約3800人に、ジョブ型人事制度を適用する予定です。
ソニー
2012年からコース別採用を実施し、採用で職務をより明確にする選択肢を用意します。
三菱ケミカル
2020年10月に人事制度を変更し、管理職がジョブ型雇用になります。
楽天
ジョブ型雇用でエンジニアを採用しています。給与は実力や経験で決まります
サイバーエージェント
エンジニアコースとデザイナーコースに分けてジョブ型雇用を行っています。
本人の能力に対し給与が決まります。過去の実績によって評価がかなり高くなることもあります。
ジョブ型雇用にどう対応すればいいのか


各社のジョブ型雇用の内容や現在の状況をまとめましたが、それでは、これらのジョブ型に対して私たちはどのように準備し、対応していけばよいのでしょうか?
最初にジョブ型雇用の内容と背景について見ていきましょう。
そもそも、ジョブ型雇用とは
欧米企業で一般的な形態で、業務に対して賃金を支払う雇用の制度です。世界標準になっています。
ジョブ型雇用を行うと、異動や転勤しなくてよく、専門性が身につきますし、業務内容がしっかりと定義されるので、昨今のテレワークのような仕事の仕方がしやすくなります。
なぜ、ジョブ型が出てきたのか(背景について)
日本での急速なデジタル化とグローバル化への変化に対して、これに対応できる人材が自社で育成できないことが背景にあります。
従来の日本型・メンバーシップ型は、人に仕事を割り振っていました。
メンバーシップ型とは、新卒一括採用で人材を確保し、企業内で人材育成を図る方法です。これには、年功序列、終身雇用が保障される特徴があります。
このような従来型の雇用制度に対して、日本では高齢化が進み、終身雇用を前提とした高止まりする人件費を抱えきれなくなったことも、ジョブ型へ移行される大きな要因の一つでしょう。
世界の学生はどうしているのか
ジョブ型雇用では、業務が定義されるため、その業務を遂行できる人材が採用されます。
それに対して、経歴が無く、業務ができるかどうか分からない新卒は、採用の可能性がかなり落ちてしまいがちです。
しかし、諸外国でもそうかといえば、実はそうではありません。
世界では、学生時代にインターンシップで経験を積めたり、各国の政策で学生に職業訓練の機会があったりします。それらを通して業務実績を得られることで、ジョブ型雇用へもチャレンジできるようになるのです。
つまり、諸外国では新卒でもジョブ型雇用にてたくさん採用されているんです。
ジョブ型雇用に対し、私たちはどのように対応すべきか
ジョブ型雇用の目的は、教育費等の社内への人件費を削減するために、業務に適する人材を採用することにあります。
つまり、ジョブ型雇用で採用されるためには、その業務で実績があり、その業務で会社の即戦力になれればいいのです。
しかし!最初からそんなことはできませんよね。
対象業務の経験がない場合も十分にありますし、特に新卒の場合は全くの未経験です。
よって、経験や実績があることは望ましいですが、
それが無くても、その経験と同じくらいのたくさんの知識があれば採用の可能性が高まります。
その業務を得意として、プロとして業務をこなせるような準備しましょう。
ということですね。
まず最初に、
自分が何に得意なのか、仕事としてプロとして十分にできることは何なのか?
そして、その分野をさらに学習して伸ばしていく。
それによって、採用の可能性が高まります。
時間がかかることだと思いますが、少しずつでも積み上げていくことが大切です。
ジョブ型雇用の主要企業7社まとめ
ジョブ型雇用を導入する、または既に導入している7社(KDDI、日立、富士通、資生堂、ソニー、三菱ケミカル、楽天、サイバーエージェントについて、ジョブ型雇用の概要をまとめました。
また、そもそもジョブ型雇用とはどのような背景があり、私たちがどのように対応していけばよいかまとめました。
日本型のメンバーシップ型雇用から今回のジョブ型雇用へ転換が始まってきています。
特にキャリアが無い学生や、特別な技術や能力を持たないサラリーマンにとっては、事前に準備しておく必要がありそうですね。
アフターコロナでジョブ型雇用が日本企業にどう影響するのか、次の記事でまとめました。よかったら合わせてご確認ください。